公立校・加古川北が甲子園にやってこられたのは、実は奇跡でも何でもなかった

強豪校がひしめく兵庫県において、公立校が甲子園出場することは、かなり難関です。しかし2008年に夏甲子園に初出場すると、2011年にはセンバツも初出場。強豪を打ち破った原動力は、エース右腕・井上真伊人の存在抜きにして語れません。最後はけがに泣くも、聖地での連続完封は圧巻でした

BBCrix編集部

大阪桐蔭を倒した加古川北の実力は本物、それを証明した2011年センバツ8強

“公立校の星”加古川北が大躍進!「勇気」を旗印にセンバツ準々決勝へ。 - 高校野球 - Number Web - ナンバー

加古川北の甲子園全戦績
夏戦績(1回)
2008年(平成20年)甲子園大会2回戦 加古川北2-9聖光学院

春戦績(1回)
2011年(平成23年) 選抜高校野球大会1回戦 加古川北4-0金沢
2011年(平成23年) 選抜高校野球大会2回戦 加古川北2-0 波佐見
2011年(平成23年) 選抜高校野球大会準々決勝 加古川北2-13日大三

加古川北、2016年夏予選成績
兵庫県大会4回戦 加古川北0-1神港学園

1977年創設の加古川北高校。文武両道を掲げる公立の高校です。加古川北の野球部創設は高校創設時ではありません。創立から遅れたのは、グラウンドがとても使える状態になかったから。それを加古川北の生徒たちが、体育の時間を使って草むしりと石拾い。こうしてグラウンドが完成した加古川北でしたが、それは野球部だけのものではありません。サッカー部をはじめ5クラブで共有。加古川北は、練習環境は決して恵まれませんでしたが、1984年にようやく創部されました。

もちろん、加古川北が目指すのは全国の高校球児と同じく甲子園。しかし激戦区兵庫県において、それは並大抵の事ではありませんでした。古くは神戸一中に始まり、関西学院中、甲陽中、芦屋など戦前から兵庫県勢は優勝校がずらり。その後も東洋大姫路、報徳学園、育英などが全国制覇を成し遂げていました。参加校も150校を超えるため、1998年の第80大会から末尾に0がつく回は、2校選出されることになっていました。

加古川北はこのチャンスを生かしました。2008年夏は、東西に分かれて1校ずつ甲子園選出されるまたとない機会。兵庫東には、報徳学園、神戸広陵、神港学園、滝川第二、神戸国際大付など甲子園経験高校が多数。しかし加古川北が所属していた兵庫西には、有力校が少ないというメリットもありました。この千載一遇のチャンスに、加古川北は圧倒する力はないものの、1戦1戦勝ち抜いていきます。常に2点差や3点差の勝負を繰り返し、加古川北は準決勝へ到達。試合に慣れてきた加古川北は5-0と快勝すると、決勝でも強力打線の洲本を5-2と逆転勝ちし、春夏通じて初となる甲子園出場を決めました。

記念すべき加古川北の甲子園初戦は、福島県・聖光学院。4季連続で聖地に来ていたいわば常連校でした。すると加古川北は、いきなり聖地の洗礼を浴びせられ、初回に4失点。さらにその後も失点を繰り返します。加古川北打線も3回、4回に得点を挙げるも、投打に圧倒した聖光学院が9-2で快勝しました。

ルールに救われて初の甲子園を経験した加古川北でしたが、井上真伊人が入学すると、まさに実力で掴みにかかります。中学時代から名投手だった井上は、1年からベンチ入りし、2年春から加古川北エースに上り詰めます。2年夏は5回戦で、神戸国際大附に0-1で惜敗して甲子園ならず。しかし続く秋季大会ではこの右腕が輝きました。加古川北は順調に勝ち上がり、準決勝では報徳学園に快勝。夏に惜敗した神戸国際大附と、今度は決勝の舞台で会いまみえました。リベンジを誓った井上でしたが、またしても1-7で敗れてしまいます。それでも堂々、兵庫県2位で近畿大会に進出。すると、加古川北は大番狂わせを起こします。加古川北の初戦は、大阪優勝の大阪桐蔭。名門校の先発は、1年生エース藤浪晋太郎。しかし、加古川北は臆することなく立ち向かっていきます。先制点は加古川北でしたが、まさかの本塁打。エース井上は、強打の大阪桐蔭に対して、スローカーブを多投してリズムを狂わせます。相手の失策がらみで2点目を得た加古川北は、井上が3安打、12奪三振で完封勝利。まさかの大阪桐蔭の初戦敗退に、加古川北が俄然注目されました。期待された準々決勝、天理打線に打ち込まれ5-9と敗戦。近畿のセンバツ出場枠は6校と多かったこともありましたが、やはり大阪桐蔭戦の好印象で、加古川北は初のセンバツ出場を手繰り寄せました。

まさにその実力で、春初の甲子園出場となった加古川北。しかし驚くのはまだまだ早いとばかりに、本戦でもその実力を見せつけました。初戦の金沢高校戦では好投手・釜田と、加古川北・井上の息詰まる投手戦となりました。しかし大阪桐蔭をシャットアウトした加古川北の力は本物でした。この試合も井上は、2安打、8奪三振で完封。加古川北として、聖地初の1勝を挙げました。さらに井上の快刀乱麻には続きがありました。波佐見との2回戦、初回に加古川北が1点を先制。井上は相変わらず安定したピッチングで、付け入る隙を与えません。8回にも1点を追加すると、井上は圧巻の2試合連続完封。初勝利からベスト8まで進み、迎えた準々決勝。快進撃を続けてきた加古川北でしたが、井上が初回に怪我を負ってしまいます。いつものピッチングができない井上は、打ち込まれて大量失点。打線も日大三にほぼ完ぺきに抑えられてしまいます。最終回に意地の2点を返した加古川北でしたが、2-13で敗戦。それでも公立校・加古川北のベスト8は立派でした。

公立校・加古川北が輩出したプロ野球選手は、常連校と異なり1名と少ない

藤井宏政(元プロ野球選手)右投右打 内野手
加古川北時代、春夏通じて初の甲子園出場に貢献。2008年、育成ドラフト3位で阪神タイガースに指名され入団。2011年育成選手として再契約。しかし2013年戦力外通告を受け引退。その後は社会人野球チームへ所属。

春夏連続出場を狙った加古川北も、決勝を延長15回引き分け後の再試合で涙をのむ

asahi.com(朝日新聞社):高校野球「エースの意地激突、譲らず決勝再試合 兵庫」 - 兵庫ニュース

兵庫県では16年間公立校の春夏連続出場がありませんでした。2011年、センバツ8強に進出した加古川北には、もちろんその期待がかかりました。エース井上も健在で、順調に勝ち進む加古川北。準々決勝で須磨東を2-1、さらに準決勝では宿敵・神戸国際大附を5-4と退け、決勝戦までたどり着きました。決勝の相手は、東洋大姫路。がっぷり四つの試合は、壮絶な試合となります。6回まで加古川北・井上、東洋大姫路・原が双方譲らず0-0。7回表に井上が先に先制点を取られると、すぐさま加古川北が同点に追いつきます。最終回、またしても先に勝ち越し点を入れられるも、加古川北は先頭打者がなんと本塁打で同点。白熱した試合は延長戦に突入しました。しかし、ここから試合は全く動かなくなります。結局、延長15回まで展開され、規定により引き分け。両投手が15回を完投という考えられない試合でした。

翌日に行われた再試合。先発は、前日15回を投げぬいた両先発でした。またしても4回まで0-0のスコアで進みましたが、5回裏に東洋大姫路が先制の1点。前日の粘りのように追いつきたい加古川北でしたが、逆に7回裏にまさかの5失点。試合は大味な展開となり、0-6で無念の敗戦。しかし、公立校が強豪を追い詰めたのはまぎれもない事実。結局、両投手は2日間ともに完投。試合終了後も、拍手がしばらく鳴りやみませんでした。

asahi.com(朝日新聞社):加古川北が甲子園へ 全国高校野球選手権西兵庫大会 - スポーツニュース - 関西
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