公立の雄、桜井高校は、奈良県で43年間続いた3強の壁をついに破って甲子園初出場

高校野球における不名誉な記録。例えば鹿児島県では御三家と言われた高校が、25年間甲子園行きを独占していました。しかし天理、智弁学園、郡山の「奈良御三家」はそれをもしのぐ42年間独占。それを破ったのは、2013年の桜井高校でした。公立校の桜井は、2年前にも準優勝で惜しくも覇権を逃していましたが、ついに夢を実現しました。

BBCrix編集部

創立110周年を前に甲子園行きを決めた桜井高エースは、まさかの元サッカー部

朝日新聞デジタル:高校野球「公立の雄、桜井初V 奈良大会」 - 高校野球地域ニュース

桜井の甲子園全戦績
夏戦績(1回)
2013年(平成25年)甲子園大会1回戦 桜井5-17作新学院

春戦績(0回)

桜井、2016年夏予選成績
奈良県大会2回戦 桜井4-6法隆寺国際

奈良県の甲子園事情は、ある意味異常かもしれません。参加校が40校そこそこと数自体も少ないですが、夏の甲子園に出場したことがある高校は、2016年現在で6校のみ。御三家と言われた天理、智弁学園、郡山の他でも、御所工(現・御所実)の4回、高田商そして2013年に初出場を決めた桜井高校がそれぞれ1回ずつという状況。さらに、県庁所在地の奈良市内の高校は一度も出場がありません。ちなみに奈良県以外の県庁所在地は、すべて夏の甲子園に出場しています。

だからこそ、2013年桜井高校の出場は快挙と言っても問題ないでしょう。実は、その2年前にも、桜井は奇跡を起こしかけていました。2011年夏、桜井は初戦に7-5と辛勝すると、そこから3戦連続でコールド勝ち。桜井の決勝の相手は、3強の一角・智弁学園。2回に先制された桜井でしたが、3回表に2点を入れて見事逆転。しかしすぐさま桜井が2点を失うと、智弁学園が主導権を握りなおします。すると、やはり地力の差を出されて、桜井は失点を重ね、3-8で無念の敗戦。桜井は甲子園という奇跡を起こすことはできませんでした。しかしながら、それを見ていた桜井のある1年生を野球に再度引き戻すという別の奇跡を起こしていました。その人物とは、竹野康平。小学生時代に野球を初始めていましたが、当時の所属はなんと桜井高校サッカー部。しかし1年秋から桜井野球部に入部します。その人間が桜井のエース左腕として、甲子園初出場に貢献するのだから、人生とはわからないものです。

2年生となった竹野に対して、桜井・森島監督は投手の適性を見出しました。そこから投手に転向すると、桜井のエース背番号1を背負うまでに成長。元のエースであった右サイドスローの加地、さらにはもう1枚右の木下という3枚投手陣ができあがりました。

3年生となった春の大会は、2回戦敗退。そして最後の夏が始まりました。初戦の2回戦を、桜井高校は10-0と圧勝発進。3回戦は一転して接戦となりましたが、桜井は3-2で勝利。すると天理が3回戦で奈良大府に敗れるという波乱が起こりました。桜井は準々決勝で香芝を破り準決勝進出。すると今度は智弁学園が大和広陵にサヨナラで敗れます。桜井と準決勝を戦うのは、その大和広陵。息詰まる投手戦となりましたが、成長著しい竹野が奮闘。試合は1-1というスコアで、延長戦に突入しました。しかし粘る桜井は、延長10回、サヨナラ勝ちで2年前同様、決勝の舞台までたどり着きました。桜井の決勝の相手は、天理を下してその勢いそのままに決勝まであがってきた奈良大府。ノーシードの桜井と、シード校で勝ち上がってきた奈良大府。下馬評では当然、奈良大府が有利でした。2回に幸先よく桜井が先制点。さらに4回には、3者連続押し出し四球で3点をもらい、桜井が4点のリードを奪いました。しかしここで竹野に思わぬアクシデントが襲い掛かります。やはり投手としての経験不足、練習不足からか、竹野はマメをつぶし血染めのボールを投げていました。連投の疲れもあり、本調子ではないうえに、ついに投げられなくなります。ここで桜井・森島監督は竹野から木下にスイッチ。奈良大府に1点を返されると、3人目の投手として加地を起用して逃げ切りを図りました。目先を変えられた奈良大府は、安打を重ねることができません。森島監督の思惑通り、桜井は4-1で逃げ切り勝利。ついに長らく続いた奈良3強時代に、桜井が終止符を打って、念願の甲子園初出場を決めました。

創立110周年の節目の年に、初めて聖地にやってきた桜井高。記念すべき初戦は、栃木の名門・作新学院でした。しかし、初見参の桜井に対して甲子園の魔物は容赦なく洗礼を浴びせます。初回に守備のミスなどから、桜井は2失点。さらに3回にも長打に四球、失策などで3点を失います。桜井も4回に、3ランが飛び出して反撃し、3-6と3点差に詰め寄りました。ただ、やはり常連校相手に、竹野の投球は通用しなくなります。6回に決定的な4失点して、竹野はマウンドを降りることに。バトンをもらった加地も、作新打線につかまり9回表を終わって17失点と、猛者にいいようにやられてしまいました。桜井高校の最後の攻撃、代打攻勢で4連打と最後の意地を見せて2得点。引き連れてきた大応援団に対して桜井らしいプレーを見せましたが、甲子園での楽しい時間は終わりを告げました。桜井の聖地初戦は屈辱の5-17。それでも重い扉をこじ開けた桜井ナインは、奈良県の高校野球歴史に新しい1ページを確かに刻みました。

桜井高校からは、プロ野球選手になった人間はいまだゼロ

やはりプロ野球選手輩出でも、御三家の3校が圧倒的にリード。桜井高から、プロのドラフトにかかる選手が誕生するのはいつの日になるだろうか

甲子園で敗退した桜井が、まさかの土下座?

朝日新聞デジタル:試合後、ベンチ前で正座する桜井の選手たち=10日、阪神甲子園球場、内田光撮影 - 写真特集(開会式・1回戦)(21/103) - 第95回全国高校野球選手権記念大会

悲願の甲子園での初戦に大敗した桜井高校。その敗戦後、桜井ナインが、一列に並んで正座するというシーンがありました。まるで土下座をしているようにも見えますが、これは桜井伝統の正座。甲子園練習でも、実施した桜井ナインが無心になるための儀式でした。

天理・智弁・郡山が44年ぶりに敗退。奈良・桜井高の「人間力」野球に注目。 - 高校野球 - Number Web - ナンバー
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