ビール売り子のお仕事

球場での試合観戦。暑い日にビールの売り子が近くを通ると「高いなあ」と思いつつ、ついつい一杯買ってしまう。重たそうなビールサーバーを背負って忙しくスタンドを歩き回る彼女らは、よく「歩合制」ということは聞くが、1試合でいったいどれくらい稼いでいるのだろうか。気になったので球場の「ビール売り子」の仕事について、良いところや大変なところなどについてもいろいろと調べてみた。

必ずしも「ビール売り子」になれるわけではない?

まず売り子といえば、球場を華やかに彩るかわいらしい制服姿が印象的だろう。球場で売り子の姿を見渡してみると、黄色やピンクなど様々な種類の制服の売り子がいることに気が付く。制服にはビールの銘柄(メーカー)がプリントされており、色はそれぞれの銘柄でかぶらずに分かれている。

今後変わっていくこともあるとは思うが、現在は「スーパードライ(アサヒ)」がオレンジかピンク、「一番搾り(キリン)」が黄緑、「プレミアムモルツ(サントリー)」が黄色、「エビス(サッポロ)」がエンジという色分けだ。実は、売り子は球場や球団ではなく、それぞれのメーカーに直接アルバイトとして採用されている形になる。華やかで人気のお仕事のため、いつも募集しているというわけではなく、募集期間は非常に短い。

各メーカーにはビール以外にもハイボールやチューハイなど他のお酒、ジュースなどノンアルコールの販売もあり、採用されても「ビール売り子」に必ずしもなれるとは限らない。ビール以外のドリンクはだいたい600円台までだが、ビールは700円~800円ほどと価格が高く、たくさん売れる売り子がビールの担当になれるのだという。

次のお客さんを探しながらビールを注ぐ技術

試合開始前から売り子の販売はスタート。試合がはじまるとスタンドが埋まり、売り子も忙しくなってくる。忙しく動き回る売り子の様子を見ていると、オーダーをくれたお客さんのところまで歩きながら、手元に目を落とさずに素早くビールを注いでいることに気が付く。

よく見ると、ビールを注ぎながらさらに次のお客さんも探している。最初にオーダーを受けたお客さんのところに到着すると、すでにビールは注ぎ終わっていて後はお金を頂くだけ。すぐに次のお客さんのところに行くことができる。そうやって効率よく客席をまわって売り上げを伸ばしていくのだ。

さらに、販売を伸ばすための技術は注ぐだけではなく、お釣りの整理まで。お釣りをもたもたして次のお客さんを逃さないよう彼女たちは工夫をしている。

売り子の女の子を見ると、お札を指に挟んでいるのを見かけたことはないだろうか?
あれはまさに、お釣りを素早くお客さんに出すための技術。
冷たいビールを扱うことで、手が濡れてしまうこともあるため、その度に小銭袋から出していては時間がかかってしまう。
指に挟むことで、お札の種類もすぐに分かり、落とすこともなく、邪魔にならない、とまさにいいことずくめの方法のようだ。

良いところ…短い勤務時間で高額な報酬

売り子の給料は「基本給+歩合給+ボーナス」で決まる。1試合の勤務時間は5時間ほど。ボーナスは「200杯達成で○○円」というようなものだ。気になる歩合給の額は、球場やメーカーによって異なるが売上額の約5%、1杯800円の販売価格なら売り子の歩合は40円ほどと言われている。売れば売るほど稼げる仕事である。新人のころはだいたい1試合100杯以下からはじまり、トップクラスの売り子で1試合200~300杯の売上があるそうだ。

タレントのおのののかさんは東京ドームのカリスマ売り子時代、1試合400杯以上売ったというが、計算すると歩合給だけで1万6000円に達する。基本給とボーナス額も加えると、1試合で2万円の給料はゆうに超えていたのではないだろうか。おのののかさんはテレビ番組で「時給(換算で)8000円」「週3日で月収30万円」と語っていたこともある。やはり「稼げる」というのが、ビールの売り子の一番の良いところだろう。

稼げる売り子になるにはリピーターの存在が不可欠。トップクラスの売り子は球場に入るとまず常連客の場所を確認し、ビールを飲み終わるタイミングを見計らって客席をまわっていくのだそうだ。ときには販売を中断して、常連客とコミュニケーションを取るためにおしゃべりしたり試合を観戦することもあるという。

大変なところ…サーバーの重さは15キロ!かなりの力仕事

売り子のビールサーバーの重さはなんとおよそ15キロ。売り子たちは15キロのビールを背負って、スタンドの急な階段を昇り降りしているのである。みんな首にタオルを巻いて汗をかきながらお仕事している。屋外の球場であればより大変だ。夏は直射日光が当たって暑く、春や秋は寒い。雨や風など悪天候の影響も直接受ける。

また売れっ子になればなるほど、サーバーの交換でバックヤードに戻る回数が増えて歩く距離も長くなるという。頑張れば頑張るほど稼げる仕事だが、体力的には非常にハード。やはり売り子の仕事で大変なところというと、この体力面の話になるだろう。

BBCrix編集部

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