スタジアムDJは球団とファンをつなぐエンターテイメントの架け橋!

 いまではエンターテイメント性を広く深く取り入れる球団が多くなり、スタジアムDJという言葉が野球界でも身近になりました。当サイトでコラムを書いている長谷川晶一さんの著書『プロ野球語辞典』でもスタジアムDJという項目を取り上げていただいており、現在では各球団のオーディションなどを経て、新たなエンターテイメントの構築をしているように感じます。

 その中でスタジアムDJが担う役割は球団とファンをつなぐ架け橋です。監督や選手達とグラウンドで話す機会は多くありますが、どちらかというとファンの方に心境は近い立場だからこそ、橋渡しの役割を担うのです。

©南隼人

引用元:プロ野球語辞典(株式会社誠文堂新光社)


 試合中、ここぞという場面ではスタジアムDJのバッターコールが強く場内に響きます。この場面が今日の試合を見るべき野球のポイントを知らせています。初回の2死ランナーなしと、9回一打逆転チャンスの場面でのコールは絶対に違います。チームによって、スタジアムDJの様々な工夫があります。

 スタジアムDJの鼓舞でスタンドの声が大きくなりそれが選手に伝わり力になります。また逆も然り、スタンドの熱気を感じそれをスタジアムDJの言葉によって選手の耳に届き力になります。

7点差の大逆転劇!

 僕がスタジアムDJをしていて、エンターテイメントとファンの一体感がチームの力になっていると感じたのは2013年シーズン。この年の5月10日のベイスターズ対ジャイアンツ戦は7点差をひっくり返す逆転勝利。この試合、この年からベイスターズに復帰した多村仁志選手の代打ホームランから風向きが変わります。

 ベイスターズ打線が打てば打つほど、応援の声が大きくなり、僕のバッターコールにも力が入ります。9回裏の攻撃前に『逆転に向かって大きな声援を!GO BAYSTARS!!』とコールするといままでにない歓声が聞こえたのを今でも覚えています。その歓声は確実に選手に届き再び多村選手の1発、逆転スリーランに繋がったものだと信じています。

共同通信

 この年は7点差をひっくり返す逆転勝利が3試合もあり、最後の最後までファンも選手も諦めない試合が多くありました。結果チームは5位となりましたが、ファンが最後まで帰らずチームに声援を送る様子はまちがいなく力になり、選手達の全力疾走やファンの声援に応える様子は日に日に変わっていきました。

 時間はかかったかもしれませんが、2016年CSファーストステージでベイスターズがジャイアンツに勝ち、ファイナルステージに進出する力になったのも東京ドームを半分以上埋め尽くしたベイスターズファンのエンターテイメントで作った空気の力です。

応援はエンターテイメント

 応援歌(音楽)やダンスといったパフォーマンスは全てエンターテイメントです。一見笑いや芸術のように思われるかもしれませんが、スポーツエンターテイメントは『チームの勝利のため』を意識しています。これまでも言葉や音楽に迷ったらチームの勝利のために結びつくのかを考えています。選手がパフォーマンスを発揮出来る環境を作り、さらに“ノセる”のがエンターテイメントです。

 その中で“ノセた”エンターテイメントが昨年の夏の甲子園、東邦対八戸学院光星の9回裏4点差を逆転した1戦。『WE ARE 東邦』ではじまったアルプス応援は一気にスタンドを巻き込んでいきます。そこからマリーンズのチャンステーマで選手達が息を吹き返します。イニング途中で藤嶋投手(現ドラゴンズ)が『あれ!?すごい雰囲気。みんな東邦を応援してくれてる!』ともとれる表情を魅せる瞬間がたまりません。まさに応援という名のエンターテイメントが勝利を呼び込んだのです。

共同通信

空気を感じる

 エンターテイメントは空気を作ります、しかし壊すこともあります。KYとはまさにこれです。では野球場で空気を感じるには!?是非音や声に身を任せてみてください。

 初めて野球に観に行く方は野球のプレーはもちろんイニング間などには様々なアトラクションがありますので注目をしてください。チアリーディングが踊ったり、マスコットが登場してグッズをプレゼントしたり、その進行の声がスタジアムDJです。フェスやお祭り感覚でその声が誘導するまま立ち上がって踊って盛り上がってください。

 ダルビッシュ投手もコメントで『音がないとのどかな感じで、そんな状態でスピードはでない。応援歌とかに興奮していけるんですよ』と語っているように、エンターテイメントは選手の力になります。エンターテイメントもチーム力なんです!!

南隼人

著者プロフィール 南隼人

大学卒業後、スポーツMCのキャリアを重ね、2012年から横浜DeNAベイスターズのスタジアムDJに。2016年から実況アナウンサーを務め、侍ジャパンオフィシャルMCとしてWBCに帯同した。Bリーグアルバルク東京のアリーナMC、ロードバイク実況など様々なスポーツに精通し、自身でもスポーツイベント等のプロデュースも手掛ける。 FMヨコハマではスポーツ番組『ミナミスポーツ』のDJ。 また2004年には日本代表選手兼親善大使としてニューカレドニア世界親善野球大会に出場した経験も持つ。